【5月9日 AFP】日焼けで肌が赤くなりやすい傾向は、一部遺伝子の影響によるものだとする研究論文が8日、発表された。論文は、肌の赤くなりやすさは皮膚がんの発症につながる恐れもあるとしている。

 研究チームは、英国、オーストラリア、オランダ、米国などの欧州系の人約18万人の遺伝的特徴を詳細に調べた結果、20個の「日焼け遺伝子」を発見した。

 英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された研究論文によると、このうちの8個は皮膚がんとの関連性が過去の研究で判明していたという。

 論文の共同執筆者で、英ロンドン大学キングズカレッジ(King's College London)のマリオ・ファルチ(Mario Falchi)氏はAFPの取材に、遺伝子全体の中の少なくとも一つの領域で「メラノーマ(悪性黒色腫)の発症リスクに関連する遺伝子が、日焼けに対する感受性の増大を介して作用することを示唆する証拠を発見した」と語った。

 日光に当たることは人体がビタミンDを生成するのに不可欠だ。科学者らによると、骨や歯、筋肉などを健康に保つビタミンDは慢性疾患やがんなどの予防を助ける可能性があるという。

 だが、日光を過剰に浴びることは短期的には痛みを伴ううえに、健康に害を及ぼす恐れがある。

 肌の色が同じでも、日光を浴びると皮膚が真っ赤になる人もいれば小麦色に日焼けする人もいる。日焼けの遺伝的特徴に関する研究としてはこれまでで最大規模とされる今回の最新研究は、肌の色が同じ人々が日光への暴露に対してこれほどまでに異なる反応を示すことの理由を説明する一助となる。

 研究はまた、皮膚がんの危険因子解明の糸口となる可能性もある。

「これらの遺伝子が、赤く日焼けしやすい傾向の一因となるメカニズムを理解するには、遺伝子についてさらに詳細な調査を行う必要がある」と、ファルチ氏は指摘した。

 将来的には、今回の研究が高リスクの人々を遺伝子検査を通じて特定する助けになることも考えられる。

「肌が赤くなる日焼けは極めて危険だということを人々は『忘れて』しまいがちだ」とファルチ氏は話す。

「皮膚がんの発生率が増加していることを考えると、日焼けと皮膚がんとの間に遺伝的関連性があることを知ることによって、健康的な生活スタイルを送るよう人々を促す助けになることを期待したい」 (c)AFP