【5月6日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が全米ライフル協会(NRA)の年次総会で述べた2015年の仏パリ同時襲撃事件をちゃかした発言に、フランス国内で怒りが広まっている。

 トランプ氏は4日、米テキサス州ダラス(Dallas)で開かれたNRAの年次総会で自由奔放に演説。フランスの銃規制法にも触れ、パリ市民に銃の購入が許されていたら事件は防げたと述べて「パリでは銃を持った人が誰もいない。130人もの犠牲者と、とてつもない数の人たちが恐ろしいけがをしたことをみな覚えている。だが、これまで誰も彼らについて話していないじゃないか」などと語り、さらには「彼らは銃で武装したごく少人数のテロリスト集団によって残忍に殺害された。犯人たちは時間をかけて一人ずつ、銃で撃ち殺していったのだ」と述べると、「バーン。こっちへ来い。バーン。次はお前だ。バーン」などと銃を発砲する襲撃犯のまねをした。

 これらトランプ氏の発言を受けてフランス外務省は5日、第2次世界大戦(World War II)以降のフランスで最も多くの犠牲者を出した2015年11月13日のパリ同時襲撃事件に対する「トランプ米大統領の発言に強い不快感を表明するとともに、事件の犠牲者に敬意を払うよう求める」とする声明を発表。事件当時の仏大統領、フランソワ・オランド(Francois Hollande)氏ら仏政治家たちもこうした批判に加わり、ツイッター(Twitter)にはトランプ氏への怒りを表明する事件の生存者らの投稿が殺到した。

 トランプ氏は4日の演説で、刃物による襲撃事件が急増している英ロンドンにも言及。「銃がないから刃物で襲うのだ」「市内の病院は、まるで戦場の病院のように床が血だらけだった」などと発言している。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT