【5月2日 AFP】ロシアの2017年の軍事費が前年比で20%減少し、1998年以来のマイナスとなったことが、スウェーデンのシンクタンク「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)」が2日発表した報告書で明らかになった。西側諸国からの相次ぐ経済制裁が影響したという。

 SIPRIのまとめによると、ロシアの2017年の軍事費は663億ドル(約7兆2700億円)にとどまった。前回、ロシアが軍事費の削減を迫られたのは、大規模な経済危機に見舞われた1998年だった。

 SIPRIのシーモン・ウェゼマン(Siemon Wezeman)上席研究員は、「ロシアでは軍の近代化が引き続き優先されているが、2014年以来経験している経済問題により、軍事予算には制約がある」と指摘。ウクライナ南部クリミア(Crimea)半島の併合後に導入された対ロシア制裁が影響しているとの見方を示した。

 ウェゼマン氏によると、これまでロシア政府はインフラや教育予算を削減し、軍事費にはほとんど手を付けてこなかったが、2017年は痛みを伴う措置を拡大する以外に選択肢はなかった初のケースだったという。また「軍事費を高水準に保つ、あるいは増やすことは不可能になっている」と述べている。

 NATO加盟29か国の同年の軍事費は9000億ドル(約99兆円)と、世界全体の52%を占めた。(c)AFP