【4月28日 AFP】米首都ワシントンのホワイトハウス(White House)で27日、米独首脳会談が行われ、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領とアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相は、貿易や安全保障面での話し合いを行ったが、両国間にある隔たりを埋めるにまでは至らなかったようだ。

 同日の会談でメルケル氏は、イラン核合意の維持や欧州を恒久的に輸入関税の例外扱いとする確約をトランプ氏から得ることはできなかった。

 米国による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限をめぐっては、欧州連合(EU)に対する適用除外の期限が5月1日に迫っており、その後は欧州の製品に輸入関税がかけられることになる。EUはこれに対し報復措置を採るとみられており、欧米の間で貿易戦争が起きる恐れもある。

 会談後の共同記者会見でメルケル氏は「交渉の現在の状況についての見解や、この問題に関するそれぞれの判断について意見を交わした。決定権はトランプ氏にある」と述べた。

 トランプ氏が5月12日までに修正するよう欧州側に求めているイラン核合意については、メルケル氏も「決して完璧ではない」と認めたが、それでも維持する価値があると訴えた。

 メルケル氏は今週ホワイトハウスを訪問したフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領と同様、イラン核合意をより長期的で、より広範な合意に向けた足掛かりとする考えをトランプ氏に売り込もうとした。

 しかしトランプ氏は、マクロン氏の時と同じく態度をはっきりさせなかった。自身の意見を問われると「私に言えるのは、彼らが核兵器を手にすることはないということだ」と述べるにとどまり、軍事行動の可能性を排除することもなかった。

 トランプ氏は、ドイツの北大西洋条約機構(NATO)への拠出や寛容な移民政策、輸出重視の貿易などで不満が残ることを示しながらも、以前のように激しく非難することはしなかった。また、米国よりも欧州に有益としてNATOを再び批判したが、こちらでも従来より控えめな言葉を選んだ。(c)AFP/Andrew BEATTY