【4月28日 AFP】サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)開幕までわずか2か月に迫った今月、日本代表指揮官を電撃解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ(Vahid Halilhodzic)氏が、日本サッカー協会(JFA)を相手取り訴訟を起こす構えであることが27日に明らかになった。同氏の弁護士は今回の解任について「虐待的な」契約違反であると主張し、JFA側からの回答を要求している。

 ボスニア・ヘルツェゴビナ出身でフランス国籍を持つ65歳のハリルホジッチ氏は同日、都内で記者会見を開き、一部選手とのコミュニケーション不足を理由に自身を契約解除にしたJFAの田嶋幸三(Kozo Tashima)会長を非難し、怒りで顔を真っ赤にしながら「誰とも何の問題もなかった。特に選手との問題はなかった」と反論した。

「私は真実が知りたい。問題があったならば、どうして会長は話してくれなかったのか。ただパリに来て、このように解任するなんて。W杯の予選を通過したことや、この3年間やってきたことに対するリスペクトに欠けている。このような形で去ることになるとは考えてもみなかった」

 会見で感情をあらわにしたハリルホジッチ氏は、日本代表のDF槙野智章(Tomoaki Makino)から受け取ったというメッセージのコピーをかざし、監督との「コミュニケーションに問題なかった」と読み上げると、「いろいろ満足しないこともあった。それでも予選を首位で通過した。そんな簡単なことではなかった」と語った。また、26日に行われたAFPとのインタビューでは、「混乱し、無力な状態でこの国を去ることは望んでいない」と話していた。

 2015年3月に日本代表監督に就任したハリルホジッチ氏は、2010年にもW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)を前にコートジボワール代表の指揮官を解任されている。

■「適切なやり方ではない」

 ハリルホジッチ氏の弁護士を務めるリオネル・ヴィンセント(Lionel Vincent)氏は、AFPの取材に対して、「ヴァイッドは真実を求めている。彼は深く傷ついており裏切られた気分だ」とすると、「まず第一に、JFAの決定は法律的にいえば有効ではない。彼らの行いは間違いであり、いかなる基準からしても言語道断だ」と述べた。

 ヴィンセント氏はまた、「われわれは行動を起こす準備はできている。JFAから真実が明かされないのであれば、われわれは法廷で真実を追求していく」とつけ加え、ハリルホジッチ氏が協会側の回答について率直なものでないと感じた場合は、不当解雇と名誉棄損(きそん)で告訴することになると明言。さらに、ハリルホジッチ氏の弁護団が今週にJFAとの面会を試みたたものの、あっさり却下されてしまったことも明らかにした。

「彼らの権利の行使の仕方は虐待的だ。これは適切なやり方ではない。とにかく、われわれはJFAの反応を待ち、それからヴァイッドと話し合うことになる。まず最初のステップは、彼の名誉を回復することだ。このような屈辱は彼にとって耐え難い」

 JFAはハリルホジッチ氏の後任として、元技術委員長の西野朗(Akira Nishino)氏を指揮官に指名した。新監督の下でW杯に臨むサムライブルーはコロンビアをはじめ、ポーランド、セネガルと同組の厳しいグループに入っている。(c)AFP/Alastair HIMMER