【4月28日 AFP】韓国で昨年起きた異例の強い地震について、水圧破砕法(フラッキング)と同様の高圧注水を伴う地熱発電技術「強化地熱システム(EGS)」に誘発された可能性があることが分かった。米科学誌サイエンス(Science)が27日、研究論文を公表した。

 フラッキングには反対の声もあり、今回の地震で地熱発電をめぐる状況が一変する可能性がある。

 この地震は昨年11月15日、韓国の港湾都市、浦項(Pohang)で起こったもの。マグニチュード(M)は5.5を記録し、数十人が負傷するなど、多大な損害が発生。大きな自然地震がまれな朝鮮半島において、観測史上最大規模の地震となった。

 科学者らはこの地震について、震源が浅いことから、発生数か月前から付近の地熱発電施設で行われた高圧での地下注水に誘発されたと推測している。

 論文によると、欧州各地の専門家らは地震データを用い、震源の浅さから、同施設での活動が地震の原因となった可能性が示されると結論付けた。

 さらに論文は、この見方が正しければ、浦項の事例は強化地熱システムに関連した地震として「規模と被害の両面で過去最大」であり、「世界の地熱産業にとって『ゲームチェンジャー』となる可能性がある」とした。

 フラッキングは、砂や化学薬品を混ぜた高圧の水を注入して地下の岩に亀裂を生じさせ、内部の原油や天然ガスを採取する手法。これにより、手付かずだった膨大な資源の採掘が可能になった。

 だが、大量の廃水が生じるために、それが地下に捨てられた場合、断層に圧力が加わる可能性がある。(c)AFP