【4月27日 AFP】北朝鮮北東部・豊渓里(Punggye-ri)にある地下核実験場が昨年の実験による大規模な爆発の後に一部崩壊し、使用不能になったとの中国科学技術大学(University of Science and Technology of China)の地震学者らの見解に対し、米国の専門家らから疑問の声が上がっている。

 米ミドルバリー国際学研究所(Middlebury Institute of International Studies)の軍縮専門家、ジェフリー・ルイス(Jeffrey Lewis)氏は26日、ツイッター(Twitter)に「山は崩壊しておらず、(核実験場が)使用不能であることを示す証拠はない」と指摘。皮肉を交え、「(米企業)プラネット・ラブズ(Planet Labs)からの4月25日付の画像を確認した。山はまだそこにある」と投稿した。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長は27日の南北首脳会談に先立ち、同国北東部・万塔山(Mantap)の豊渓里にある地下核実験場を閉鎖すると宣言した。

 これに関し、同実験場はすでに「Tired Mountain Syndrome(山疲労症候群)」と呼ばれる地質状況にあり、使われなくなっている可能性があるため、金氏の譲歩には中身がないとの懐疑的な見方も出ている。

 だがルイス氏は、爆発により空洞が崩壊したのは確かだが、「これは山の地下施設が破壊されたことを意味するわけではない」と指摘。北朝鮮は実験場から近隣の山々までトンネルを掘っていたとし、それらが万塔山の地下での爆発で損壊することはないと強調した。

 その上でルイス氏は、「金氏が核実験の中止に同意した理由は首脳会談であり、核実験場の山の崩壊ではない」と結論付けている。

 豊渓里の衛星画像を常時精査している米国の北朝鮮分析サイト「38ノース(38 North)」もこれに先立ち、3月までトンネルの掘削が観察されていたと指摘。「豊渓里核実験場が今後の核実験に使用できないと結論付ける根拠はない」としている。(c)AFP