【4月26日 AFP】ドイツの首都ベルリンで25日、ユダヤ教徒の伝統的な帽子「キッパ(kippa)」をかぶって反ユダヤ主義に抗議するデモ「ベルリンはキッパをかぶる」が行われ、さまざまな宗教・人種の市民ら2000人以上が市内を行進した。

 一方、市内では同日、イスラム教徒の多い地区で反ユダヤ主義に抗議していた3人組に対しカウンター(対抗)デモの参加者らが「テロリスト」と叫んでつばを吐きかけ、イスラエル国旗を奪う騒ぎもあった。

 ドイツでは最近、ユダヤ人を標的とした襲撃事件や反ユダヤ的なスキャンダルが相次ぎ、ナチス・ドイツ(Nazi)によるホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)から70年を経て急拡大したユダヤ人コミュニティーを守る能力がドイツ社会にあるかが問われている。

 先週にはベルリンの繁華街で、キッパをかぶっていたイスラエル人の男性2人をシリア人難民の男(19)が「ユダヤ人!」とアラビア語で叫びながらベルトで殴りつける事件が発生。被害者の1人が撮影した動画がソーシャルメディアで拡散し、激しい反発を招いた。

 また今月初めには、ナチスのアウシュビッツ・ビルケナウ(Auschwitz-Birkenau)強制収容所に入れられたユダヤ人たちをないがしろにするような歌詞を含んだアルバムを20万枚以上売り上げた2人組のラップ歌手がドイツの主要音楽賞「エコー賞」を受賞し、物議を醸した。歌詞の中で2人は、自分たちの身体が「アウシュビッツの捕虜より筋肉質」だと歌っていた。

 国民的な議論が巻き起こる中、エコー賞の主催者は25日、同賞が「反ユダヤ主義やミソジニー(女性に対する嫌悪・蔑視)、同性愛嫌悪、暴力の軽視などを表明する場とみなされる」のを避けるためとして、賞の廃止を発表した。(c)AFP/ David COURBET and Frank ZELLER