【4月26日 AFP】アルゼンチンという国で、サッカーがある種の宗教なのは間違いない。それを示すかのように、ブエノスアイレスのとあるスポーツクラブの天井には、イタリアのシスティーナ礼拝堂(Sistine Chapel)にあるミケランジェロ(Michelangelo)作の有名な天井画を模した絵が描かれている。そこでは「神の手」ゴールで知られるディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)が神となり、その手の先にはアダムではなくリオネル・メッシ(Lionel Messi)がいる。

 熱烈なサッカーファンとして知られるアルゼンチン出身のフランシスコ(Francis)法王なら、ブエノスアイレスのバラカス(Barracas)地区にあるスポーツクラブ、スポルティーボ・ペレイラ(Sportivo Pereyra)の行いにも微笑んでくれることだろう。

 クラブでコーチを務めるリカルド・エルセゴード(Ricardo Elsegood)氏は「私たちにとって、ピッチは神聖な神殿です。だから天井にフレスコ画を描くのは非常に素晴らしいことですし、神殿にふさわしいものです。システィーナ礼拝堂には神とアダムがいる。そしてサッカーの礼拝堂にはメッシとマラドーナがいるのです」と話す。

 ペレイラのサッカー版「アダムの創造(Creation of Adam)」では、神であるマラドーナのまわりに集まっているのも、天使ではなくアルゼンチンサッカーのスターたちだ。ファン・ロマン・リケルメ(Juan Roman Riquelme)、ガブリエル・バティストゥータ(Gabriel Batistuta)、マリオ・ケンペス(Mario Kempes)、セルヒオ・アグエロ(Sergio Aguero)、クラウディオ・カニーヒア(Claudio Caniggia)、リカルド・ボチーニ(Ricardo Bochini)、そしてアリエル・オルテガ(Ariel Ortega)。マラドーナとメッシは、有名な青と白の縦じまのアルゼンチン代表のユニホームをまとっている。

 数多くの子どもが所属するスポルティーボ・ペレイラは、ブエノスアイレスの南に位置し、アルゼンチンで最も大きな成功を収めたクラブ、ボカ・ジュニアーズ(Boca Juniors)の本拠地からもそう遠くない。

 絵を担当した画家のサンティアゴ・バルベイト(Santiago Barbeito)さんは「マラドーナからメッシへ、優れたサッカーという贈り物が受け継がれているような感じにしました」と話している。

 もっともエルセゴードさんとしては、絵を描いたのは単純な理由からだったようだ。

「天井がかなり暗かったから、最初は青空と白い雲を描こうと思っていたんです。ところがある日、バルベイトさんがやって来て、それならメッシとマラドーナを描いた方が良いんじゃないかと言ってきたから、そうしたんです」 (c)AFP