【4月26日 AFP】西アフリカのゴリラとチンパンジーは、これまで考えられていたより2倍多く生息している可能性があるとの研究論文を、国際チームが25日に発表した。だが、これらの類人猿が絶滅の危機にある状況は変わらず、個体数が急速に減少しているため緊急の保護が必要だという。

 米科学誌「サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)」に掲載された論文によると、これまでの生息数の推定値は、大型類人猿の生息域全体に分布する互いに隔絶した地域から得られた巣の数の計数値に基づくものだったという。

 最新の生息数推計では、これまで巣の数を直接調べることができなかった地域に生息する可能性のある類人猿の生息数を推定するための数理モデルを使用した。

 今回の推計は、道路や居住地に近いことや、致死性のエボラウイルスが最近流行したことなどの、類人猿の生息数に影響を与えることが分かっているその他の要因に基づいて行われている。

 論文の主執筆者の一人で、米自然保護団体「野生生物保全協会(WCS)」の保全科学者のフィオナ・マイセルズ(Fiona Maisels)氏によると、5か国59か所に及ぶ11年にわたる調査により、ゴリラとチンパンジーに関してこれまでまとめられた中で最も包括的で高精度のデータ集合が得られたという。

 今回の推計結果は、アフリカ西部赤道付近のニシローランドゴリラの生息数が約36万2000頭で、過去の推定値の15万~25万頭に比べて高い値となることを示している。

 また、同地域のチンパンジーの推定生息数は約12万9000頭で、これも過去の計数値の7万~11万7000頭より高い値となっている。