■映画への検閲

 しかし同性愛に関する内容を主要な文化に持ち込もうとすると依然、困難が付きまとう。2016年、政府の検閲当局は、同性愛者のキャラクターをテレビに登場させることを禁じた。その際のガイドラインには「いかなるテレビドラマも、近親相姦や同性同士の恋愛、性的倒錯、レイプ、性的虐待、性暴力などの異常な性的関係や性的行為を描いてはならない」と記載されている。また昨年には、同性愛に関するコンテンツが、すべてのオンライン・ストリーミングで禁止された。

 若い男性2人がイタリアで経験するひと夏のロマンスを描き、米アカデミー賞脚色賞を受賞した『君の名前で僕を呼んで(Call Me By Your Name)』は、先月開催された北京国際映画祭(Beijing International Film Festival)で上映されなかった。

 しかし中国の映画館では、中国人とフランス人の男性同士の秘めやかな恋愛を描いた作品「Looking for Rohmer」が2年遅れでようやく公開され、中国初の同性愛をテーマにした映画として大きな話題となっている。それでも主要な登場人物2人によるキスシーンや手を握りあうシーンはカットされているため、それが恋愛映画だと判別することさえほぼ不可能なほど作品の原型をとどめていないとされる。