【4月25日 CNS】米国商務省が米企業に中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)との取引を禁じたことで、中国産業界では半導体産業へ投資して技術力を高め、ピンチをチャンスに変えようという機運が高まっている。

 米国商務省は16日、米国企業に対し今後7年、ZTEへの部品や商品の販売、ソフトや技術提供など、いかなる取引も禁止すると発表した。

 2017年3月に11億9000万ドル(約1281億円)の罰金を科されて以降、再び処罰を受けることになったZTEは、危機対策チームを設置し、対応を急いでいる。

 中国商務部は19日、「今後の展開を注目する。いつでも必要措置を取れる準備はある」とコメントし、中国企業の正当な権益を守る方針を示した。

 もし、今回の決定が覆らなければ、ZTEには大きな打撃となる。携帯電話中国連盟(MCA)の王艶輝(Wang Yanhui)秘書長は、「もし禁止令が執行されれば、ZTEは米国から重要な部品を購入できなくなるだろう」と述べた。

 この数年、中国の集積回路産業は急速に発展している。しかし、中国のチップ産業の技術力は先進国にはまだ遠く及ばず、高性能半導体チップは輸入に頼っている。中国の輸入集積回路の金額は、毎年2000億ドル(約21兆5000億円)を超える。

 電子創新網の張国斌(Zhang Guobin)CEOは「中国半導体産業の設計の分野は著しい進歩を見せているが、製造と実装分野が弱い」と述べた。

 ZTE事件は中国の技術力の限界を知らしめたと同時に、自立への強い意志を刺激する結果にもなった。

 政府機関紙「人民日報(People's Daily)」は、「これから中国はチップ産業への投資増加を度外視し、産業全体が歴史的なチャンスを迎えるだろう」と論評した。

 中国工業情報化部(MIIT)の羅文(Luo Wen)副部長は先週、「中国の重要プロジェクトの取り組みとと重点製品の開発、CPU、FPGAなど高性能汎用チップの分野で破壊的な再統合が起き、高性能チップの供給能力は高まっていくだろう」と述べた。

 ここ数年、チップ産業への投資も増え、統計によると半導体企業や地方が設立したファンドの規模は累計で5000億元(約8兆6011億円)を超える。(c)CNS/JCM/AFPBB News