【4月25日 東方新報】中国で人気の伝統薬「鴻茅薬酒(Hongmao Medicinal Liquor)」。広告では、「薬品の属性を弱め、健康食品としての効能を強化」とうたっており、薬品と健康食品の境界線をあいまいにしている。

 内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)の鴻茅国薬で作られている「鴻茅薬酒」については昨年末、広東省(Guangdong)の医師が、インターネット上で効能に疑問を投げかける文章を投稿。内モンゴル自治区涼城県(Liangcheng)警察が、製品への信頼をおとしめたとして、医師を逮捕した。

 この医師は今月17日になって釈放されたが、「医師の発言は実際に『鴻茅』へ重大な損害をもたらしたのか」「警察は省を越えて逮捕することは民事紛争を事件化したことにならないか」といった世論が巻き起こった。

 同時に、「鴻茅薬酒」の安全性と有効性のほか、広告が虚偽ではないかとする疑いについても、注目されている。

 中国食品薬品監督管理局によると、「鴻茅薬酒」は酒類ではなく、健康食品でもない。認可番号を持つ医薬品だ。認可したのは内モンゴル自治区食品薬品監督管理局で、有効期限は2020年3月18日まで。

 説明書には「筋肉や関節の痛みを和らげる、気を補い、流れを良くする、筋肉の動きを伸びやかにし血液の流れを良くする、胃腸の働きを良くし腎臓を温める」といった効能が明記されている。

 問題は、「元気がない、足腰が痛い時には『鴻茅薬酒』、毎日2口飲めば病気が去っていく」「毎日飲み続ければ中高年も健康に」といった内容の広告だ。

 消費者の誤解を生むような内容は、消費者の健康に害を及ぼす恐れがある。統計によると、「鴻茅薬酒」の広告は、25地域の食品薬品監督管理局から計2630回、虚偽または誇大広告などとして違法だとする通告を受けている。ほかにも、商品の販売停止を何十回も通告されているという。

 広東国信信揚法律事務所の羅愛萍(Luo Aiping)弁護士は「『鴻茅薬酒』の広告が禁止されながら実際には放映されているのは、広告管理に抜け穴が存在しているからだ」とみる。「監督管理部門は前回の広告が違法だったからといって、新たに申請された広告の審査を却下することはできない。『鴻茅』はその点を利用し、前回の広告に手直しを加えて『新しい広告』として申請している」と話す。

 中国食品薬品監督管理局は、内モンゴル自治区食品薬品監督管理局に対し、管轄内の監督管理を強化し、薬品広告に対する審査をさらに厳格にするなど要求している。

 また、「鴻茅」に対しては、虚偽の広告の問題点を社会に説明するとともに、実際の安全性と有効性についての説明をすることと、製品の過去5年間に起きた健康被害などの発生状況を社会へ公開するとともに、国へ報告するよう命じた。(c)東方新報/AFPBB News