【4月25日 AFP】インドで最も人気のある城塞(じょうさい)群の一つで観光客を乗せるのに使われている象のうち十数頭が失明し、足の裏があざだらけの象も多いことが分かり、24日、この慣習をやめるよう訴える報告書が発表された。

 同国西部ラジャスタン(Rajasthan)州の州都ジャイプール(Jaipur)郊外の丘陵に位置する中世の城塞群の一つアンベール城(Amer Fort)には毎年数万人が訪れ、象の背中に乗って城門から入場する観光客が多い。政府関係者らと動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」は、こうしたサービスに使われている象、全102頭を対象に検査を実施した。

 政府機関の動物福祉委員会(Animal Welfare Board of India)が発表した報告書によれば、ほぼ全頭が何らかの心理的苦痛を受けているか、足の裏があざだらけになっていることが判明したほか、19頭が失明しているか視覚障害があり、その他9頭が結核を患っていることが明らかになった。

 さらに同報告者は、象使いらが安全基準を超えた重量を象に乗せているケースも多く、調査した象のうち47頭は牙を失っており、その象牙が違法に取引されている可能性についても指摘している。

 PETAインド支局のニクンジ・シャーマ(Nikunj Sharma)さんは「失明した象や結核にかかっている象が毎日、違法な重労働に従事させられているというショッキングな報告書は、象に観光客を乗せるこうしたサービスをなぜやめなければならないかを明確に物語っている」と声明で訴えている。(c)AFP