【4月25日 AFP】米フェイスブック(Facebook)から約8700万人分のユーザーデータが流出した問題で、原因となったアプリを開発した英ケンブリッジ大学(Cambridge University)の研究者が24日、英議会の委員会で証言し、フェイスブックに批判が集まる中で自分がそのスケープゴートにされていると不満を訴えた。

 証言したのはロシア系米国人のアレクサンドル・コーガン(Aleksandr Kogan)氏。英データ分析会社ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)がフェイスブックからユーザーデータを不正取得するのに利用した性格診断アプリを開発した。

 コーガン氏は証言でこのアプリをフェイスブックが批判しているのは同社が「PRクライシス(世間からの批判によって企業の評判が危機にさらされること)モード」にあるからだと主張。「フェイスブックは自分たちのプラットフォームが大勢の人から袋だたきにされているのに気づいた」からそうしているだけで、本心とは違うとの見方を示した。

 コーガン氏は自身の会社「グローバル・サイエンス・リサーチ(Global Science Research (GSR))」を通じてアプリを開発。アプリは性格診断テストを受けたユーザーに少額の報酬が支払われる仕組みになっている。

 フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)最高経営責任者(CEO)によると、このアプリは27万人にダウンロードされた。コーガン氏はユーザーの友人のデータにもアクセスでき、それを通じて9000万人分のデータを集めたとされる。

 データはケンブリッジ・アナリティカの親会社に売却された。その後、ケンブリッジ・アナリティカは2016年の米大統領選でドナルド・トランプ(Donald Trump)に雇われることになった。

 コーガン氏は議会で「自分はたんに、トランプ陣営の選挙活動につながってしまった運の悪い人間にすぎない。問題が起きたときに「誰か一人を責め立てるのは都合がいい」として、自身の仕事に政治的な意味はほとんどなかったと述べた。

 取得したデータについては、フェイスブックで政治的な広告に利用できる正確なプロファイルを構築するには粗雑だったとも説明した。(c)AFP/James PHEBY