【4月24日 AFP】英国で、末期の病を抱える幼い息子の人工呼吸器が停止されるのを阻止するため、最高裁判所に再審を請求するも棄却され、今度は呼吸器停止の延期を求めていた両親に対し、裁判所は23日、この申し立てを退けた。

 1歳11か月のアルフィー・エバンス(Alfie Evans)ちゃんは、まれな神経変性疾患で慢性てんかん発作がある。1年以上昏睡(こんすい)状態にあり、人工呼吸器がなければ生命を維持できない。

 父親のトム・エバンス(Tom Evans)さんと母親のケイト・ジェームズ(Kate James)さんはアルフィーちゃんを、イタリアの首都ローマにあり、ローマ法王庁(バチカン)が運営するバンビーノジェズ小児病院(Baby Jesus Paediatric Hospital)へ転院させたいと希望している。

 両親はそのための時間が欲しいと、息子への人工呼吸器停止の延期を認めるよう、高等法院に訴えていた。これに対しアンソニー・ヘイデン(Anthony Hayden)判事は、これを棄却する判断を下した。

 これにより、アルフィーちゃんが入院しているイングランド北西部リバプール(Liverpool)のアルダーヘイ小児病院(Alder Hey Children's Hospital)の医師らに、治療の中止が認められたことになる。

 両親はこれに先立つ18日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王に面会し、息子を救ってほしいと嘆願。これを受けて法王はその日行われた毎週恒例の説教で、命の主は神だけであり、命を守るために万事を尽くすのがわれわれの義務だと強調していた。

 アルフィーちゃんのローマへの転院を容易にするため、イタリア政府は23日、アルフィーちゃんに市民権を付与している。(c)AFP