【4月24日 AFP】中国が地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」に基づいて
二酸化炭素(CO2)削減目標を履行した場合、12年間で約9万4000人の早死を防ぎ、医療費3390億ドル(約37兆円)を削減できるとした米大チームによる研究論文が23日、英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に掲載された

 中国はCO2排出量を遅くとも2030年までにピークアウトさせ、単位GDP(国内総生産)当たりのCO2排出量を2005年比で60~65%削減すると公言しているが、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームによる論文は、中国が期間内に目標を達成するにはCO2排出量を毎年4%前後、削減する必要があるとしている。これにより大気汚染が改善され、およそ9万4000人が早死から救われるという。

 また、CO2削減目標の達成に必要な予算の4倍もの医療関係費を削減できると試算。論文共同執筆者のノエル・エックリー・セリン(Noelle Eckley Selin)MIT准教授は「大気浄化がもたらす健康面の有益性は温暖化対策にかかる費用を上回るので、実際のところ黒字になる」と説明した。

 国際エネルギー機関(IEA)によれば、国内総エネルギーのおよそ4分の3を石炭火力発電で賄ってきた中国は世界最大のCO2排出国だが、火力発電からの移行に苦慮している。政府は低炭素エネルギーの使用を積極的に推進しているが、中国国家統計局(National Bureau of Statistics)によると昨年、国内の石炭消費量が2013年以来初めて上昇した。(c)AFP