【4月24日 AFP】オレンジ色のシートがかけられた遺体、犠牲者が履いていた靴、破壊された消火栓や新聞自動販売機の破片─。カナダの最大都市トロント中心部で平日の昼間に発生したワゴン車の暴走事件の現場は、どこまでも延々と続いているように見える。

 事件は23日午後1時(日本時間24日午前2時)過ぎに発生。トロント北部の高層住宅街でワゴン車が猛スピードで次々と歩行者らをはねた。

 警察が現場に急行し、容疑者の男の身柄を拘束した。しかし暖かい春の日差しが降り注ぐトロントで、なぜ男が白いワゴン車を暴走させて人々をはね、破壊行為に及んだのか、その動機はまだ不明だ。

 すぐに救急隊が駆け付けたが、応急処置もむなしく10人が命を落とした。警察は運転手が「故意」に歩行者に突っ込んだと断定したが、事件と国の安全保障のつながりはないとしている。

 現場に居合わせた男性(42)は「悲鳴や叫び声が聞こえて振り返ると、ワゴン車が突っ込んでいくのが見えた。車は前進したりバックしたりしながらジグザグ走行していた」と語った。

「地面に倒れた人たちが心臓マッサージを受けていたが、目の前で2人が亡くなった」

 また、あるタクシー運転手(56)は、先進7か国(G7)の外相会議が行われている会場がある南方に向かって走行していたワゴン車が歩道に乗り上げるのを見たと話す。「配達車だろうと思ったが、歩道をスピードを出したまま走行していたので変だと思っていたら、次々と歩行者をはねていったんだ」

 ワゴン車がバス停に突っ込み、近くを歩いていた女性に割れたガラスの破片が飛び散ったため助けに向かったが、その間もワゴン車の暴走は続いていたという。

 ワゴン車は消火栓や新聞自動販売機も破壊。少し離れたところに運動靴が転がっていた。警察によると、犠牲者が履いていたものだという。(c)AFP/Francesco FONTEMAGGI