【4月22日 AFP】北朝鮮が核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射を中止すると宣言したことについて、専門家らは金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の真意を測りかねており、またそれがどの程度、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の功績によるものなのか首をひねっている。

 北朝鮮情勢に詳しい専門家の多くは、金委員長の宣言は非核化に言及していないとして、すかさず懐疑的な見方を表明している。また不可解な部分の多い金委員長が、現時点で米国からどのような譲歩を期待しているのかについても理解に苦しんでいる。

 米首都ワシントンに拠点を置く保守派シンクタンク「センター・フォー・ナショナル・インタレスト(Center for the National Interest)」で防衛研究を担当しているハリー・カジアニス(Harry Kazianis)氏はAFPに対し、「金委員長が発表した措置はどれも十分に可逆的であり、口先だけの空約束に等しい」と語った。

 北朝鮮は昨年9月以来、核実験を実施しておらず、ICBM試射は昨年11月を最後に行っていない。しかし、カジアニス氏はAFPに対し、金委員長が韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領との南北首脳会談と、続いて開催されるトランプ大統領との米朝首脳会談で思惑通りの成果が得られなかった場合、直ちに強硬姿勢に戻る可能性を警告し、「国際社会は期待を寄せつつ、油断してはならない」と強調した。

 その他の専門家数人は、北朝鮮の宣言が核実験とミサイル試射の中止をうたう一方で、非核化に向かうのではなく核保有国であることを改めて強調したものだとして冷やかに見ている。また、国際社会で孤立している金政権が核開発をめぐる約束を何十年もわたって破ってきた経緯を踏まえ、今回の宣言の信頼性を疑問視している。

 ただし、北朝鮮について長年研究している米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)米韓研究所(US-Korea Institute)のジョエル・ウィット(Joel Wit)上級研究員は、今回の金委員長の動きに対する懐疑的な反応に不満を表明。現在、金委員長が核開発から国内経済の近代化への方向転換に専心しているのは明らかであり、12日の宣言はそれを裏付けるものだと語った。