【4月22日 AFP】インド政府は21日の閣議で、子供に対する性的暴行で有罪となった者に死刑を科すことを認める政令を承認した。同国では8歳の女児が集団で暴行された末に殺害されるなどの残虐な事件が相次ぎ、国民の間で怒りの声が上がっていた。

 インドでは、北部ジャム・カシミール(Jammu and Kashmir)州で今年1月、イスラム教徒の家庭出身だった女児がヒンズー教徒の男らの集団に誘拐され、繰り返しレイプされた後に殺害された事件を受けて各地で抗議デモが行われ、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相に行動を求める圧力が高まっていた。

 政府当局者がAFPに語ったところによると、英連邦首脳会議を終えて帰国したモディ首相が閣議を招集し、12歳未満の子供への性的暴行で有罪となった者を死刑にできるよう性暴力に関する法律を改正する政令が承認された。性的暴行の罪の下限も引き上げられる。

 政令は、子供が被害を受けた事件の裁判は容疑者逮捕から2か月以内に完了させるべきことも定めている。司法手続きに時間がかかるインドでは異例の速さだ。

 政令は大統領に送られ、大統領の承認後6か月間、あるいは議会が法改正を可決するまでの間効力を持つ。

 インドでは、この数か月間に4州の州議会で、子供に性的暴行を加えた者を死刑とすることを認める法律が可決されていた。

 インドには死刑制度があるが、適用されるのは極めて残忍な殺人事件や「テロ攻撃」に限られていた。実際に死刑判決が出るのはまれで、上級審で覆されることも多かった。1993年にムンバイで起きた爆弾事件で有罪となった者の死刑が執行された2015年以降、インドで死刑は執行されていない。

 同国では21日にも中部マディヤプラデシュ(Madhya Pradesh)州で、生後4か月の女児をレイプし殺害した容疑で男が逮捕された。

 モディ政権は、同国ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州で16歳の少女が同首相氏率いる国政与党・インド人民党(BJP)に所属する州議員にレイプされたと告発したことから非難を浴びている。(c)AFP