【4月22日 CNS】古代から数千年続く中国の農耕文化は、さまざまな文化遺産となって現代に伝えられている。浙江省(Zhejiang)遂昌県(Suichang)で14日、古代から伝わる重農主義を色濃く残した伝統の「班春勧農」の祭典が行われた。

 一年の計は春にあり。「班春」は発布される農作業の詔令などを意味し、「勧農」は農民が耕作に励むよう激励することを指した。種まきの頃に各地の官僚によって行われる恒例行事だった。

 約400年前、明の時代の文筆家として知られる湯顕祖(Tang Xianzu)は、現在の遂昌県にあたる平昌県(Pingchang)の県知事に就いた際、農耕を奨励して社会の発展を促すために「班春勧農」を特に重視したことで知られている。

 立春の前日、湯は役人たちを従え、春を迎えに遊山に出掛けるのが習わしだった。春の神を祭り、祭祀用に土で作った牛をむちでたたき、また百姓たちにむちを贈ることで豊穣を祈願し、「春耕令」を発布したと伝えられている。湯が著した小説『牡丹亭』の中の『勧農』は、「班春勧農」を記録に残したものだ。

■「耕読文化」─農業をしながら学び続ける

 遂昌県は長い間、湯が残した「班春勧農」の文化を伝え続けてきた。中国に古くから伝わる「二十四節気」が無形文化遺産として2016年に国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)に登録された際、「班春勧農」も立春の伝統文化の一つとして、無形文化遺産として同時に登録された。

 遂昌県の沈世山(Shen Shishan)県長は、「農業をしながら学び続けるという『耕読文化』の記憶を、我々が後世に残していく責任がある」と話す。

「班春勧農」の祭典は、重厚な太鼓の音とともに始まった。花や酒、むちなどを携えた人びとや、作り物の牛などが入場し、農業の神を祭った。「班春」の詔令を読み上げ、春の耕作の開始を告げた。祭典の最後に、人びとは牛をひいて田畑に入り、春の泥を踏み一年の豊作を祈った。

「班春勧農」の祭典のほかに、収穫した茶葉やタケノコなども提供されたほか、「班春勧農」伝承保護のための討論会なども行われた。(c)CNS/JCM/AFPBB News