【4月19日 AFP】インドの首都ニューデリーの高等裁判所は18日、集団レイプの末に殺害された8歳女児の実名を報道したメディア12社に対し、それぞれ罰金100万ルピー(約160万円)を支払うよう命じた。罰金は性犯罪被害者の賠償基金に積み立てられるという。

 インドでは被害者の尊厳などを考慮し、生死にかかわらずレイプ被害者の氏名を公表することは法律で禁止されており、場合によっては違反者には罰金と共に2年の禁錮刑が科されることもある。

 遊牧生活を送るイスラム教徒の家庭出身だった女児は北部ジャム・カシミール(Jammu and Kashmir)州で今年1月、誘拐されて薬を飲まされ、ヒンズー教寺院などで5日間にわたってレイプを受けた末に撲殺された。

 後を絶たない女性への性犯罪に全国で抗議の声が高まる中、メディア各社は先週13日に裁判所の中止命令が出るまで女児の名前を報じていた。

 PTI通信によると、各社の弁護人は裁判で法律の存在を知らなかったとか、被害者が死亡していたため名前を公表できると誤解していたなどと主張したという。

 多くのメディアは女児の実名だけでなく、同じく法律で禁止されている写真の公表も行っていた。女児の写真は現在、インド各地で行われている抗議運動の横断幕などに多く使用されている。(c)AFP