【4月19日 AFP】米国では1日に15万トン近くの食品廃棄物が発生しているとの調査結果が18日、発表された。国民1人当たり約422グラムの食品を毎日廃棄している計算になる。廃棄される量が最も多いのは青果物だった。

 米科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に掲載された研究論文によると、最終的に廃棄される食用植物を栽培するために毎年使用される土地の総面積は約12万平方キロで、これは米国内の農作物栽培好適地の約7%に及ぶという。また、無駄に費やされているかんがい用水は16兆リットルに上るとされた。

 青果物は構成比で食品廃棄物全体の39%を占めており、次いで乳製品17%、肉類14%、穀類12%となっている。一方、廃棄処分されることが少ないのは、塩気の強いスナック菓子、食卓油、卵料理、砂糖菓子、清涼飲料水などだ。

 2007年~2014年の食品廃棄物に関する政府の調査データに基づく今回の研究では、廃棄される食品の総量が全米国人の1日の平均カロリー摂取量の約30%に相当することが明らかになった。

 こうした結果を受け、論文は環境と農業従事者にかかる負担は「重大だ」と指摘しており、また食品廃棄物が「年間約35万トンの農薬と約82万トンの窒素肥料を用いて生産される収穫物に相当する」ことも記された。

 解決策としては、果物や野菜のより適切な下ごしらえと保存の方法について消費者を教育する、食品の賞味期限を見直す、訳ありの生鮮食品を購入するよう消費者に勧める、食品廃棄物を抑制する取り組みを政府の持続可能性計画に組み入れるなどが考えられる。

 論文の主執筆者で、米農務省農業研究局(ARS)のザック・コンラッド(Zach Conrad)氏は「食品廃棄物の問題は、さまざまなレベルで表面化している」と話す。

「増加を続ける世界人口の要求を満たす持続可能な方法を模索する上で、これらを総体的に検討することがますます重要になる」 (c)AFP