【4月20日 AFP】一部の企業や規制当局は、自動車産業の電化革命が空の交通にも波及し、予想されている旅行ブームの到来に対応するとともに、温室効果ガス排出削減に役立つことを期待している。

「われわれは(温室効果ガス)排出と騒音に決して対処できないのだから、航空輸送はなくすべきだと多くの人々が言うが、それは時代遅れだ」と語るのは、ノルウェーのヒェーティル・ソールビークオルセン(Ketil Solvik-Olsen)運輸・通信相だ。

 ノルウェーは西欧最大の石油・天然ガス産出国でありながら、電気輸送分野のパイオニアでもある。2015年には初めて電動フェリーを導入。2025年までには、新たに登録されるすべての車両を、排出ガスが出ないゼロエミッションとすることを目指している。そして水上、陸上の次に同国が電化を掲げているのは航空輸送で、今後約20年ですべての短距離便の電動化を目標としている。

 航空輸送が地球温暖化に与える影響は、二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物、水蒸気などを含む排出物質の約5%と推計されている。

 さらに国際航空運送協会(IATA)は、2036年までには旅客機の利用者数は現在の倍の年間78億人に達すると予想しており、何も策を講じなければ、航空輸送による温暖化への影響は増すと考えられる。

 そうした中、航空産業は2050年までに、CO2の排出量を2005年の水準の半分に削減することを目標として掲げている。2大航空機メーカーである欧州航空機大手エアバス(Airbus)と米航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)は共に、電動航空機の実用化を模索している。

 エアバスは、エンジン製造を手掛ける英ロールスロイス(Rolls Royce)や独企業グループのシーメンス(Siemens)と提携してハイブリッド電気航空機の開発を進めており、2020年の初飛行を計画している。またボーイングが出資している米ベンチャー企業ズーナム・エアロ(Zunum Aero)も、2022年までにハイブリッド機を市場投入する計画だ。(c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES