【4月18日 AFP】子どもの健康は、妊娠中の母親の喫煙や飲酒のみならず、受胎前の両親の肥満や食事の質などにも影響を受けることが、17日に発表された研究論文で明らかになった。

 英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載された3つの研究の論文によると、両親の食事の内容や深刻な体重過多は「受胎前から子どもの成長、発育および長期の健康に著しい影響」を与える可能性があるという。

 この研究は、従来の論文の見直しと新たな研究を組み合わせたもので、母親の生活習慣だけでなく、父親の生活習慣も子どもの健康に直接の影響を及ぼし得ることが示された。

 英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London)の教授で研究論文の主著者であるジュディス・スティーブンソン(Judith Stephenson)氏は「妊娠前の時期は、親の体重や代謝、食生活を含む健康状態が、子どもたちの未来の慢性病のリスクに影響し得る、決定的な時期だ」と指摘する。

 例えば、片方の親または両親の肥満は、子どもの心臓発作や脳卒中、免疫疾患、糖尿病の確率を高めるという。母体の肥満は炎症とホルモンのレベルを高めるとされており、卵子と胎芽の成長に直接、変化を与える可能性がある。これが後に子どもの慢性疾患の確率を高める。男性では、肥満は精子の欠陥をもたらし、子どもに同様の疾患を引き起こしかねない。

 論文によると、母体の栄養不良も子どもの発達上の問題につながる可能性がある。「栄養不足と肥満は、出産年齢期の女性たちの間にまん延している。高所得国と低所得国との差は減少しており、特に若年層の間で、平均的な食事は栄養勧告をはるかに下回っている」と論文は指摘している。例えば女性の約96%は、鉄と葉酸の摂取量が、それぞれ1日あたり14.8ミリグラムと400マイクログラムという勧告基準を下回っているという。

 この結論は、英国とオーストラリアの18~42歳の出産年齢期の女性を対象にした、2つの新たな分析に一部基づいている。

 研究は、世界中の妊娠の約40%は計画外のものだと指摘し、将来、親になることに向けた若者のための学校教育の必要性を勧告。さらに「計画的な妊娠を目指す人々の個々の努力を支えるためにも、栄養と健康に関連する行動を改善する努力を国民レベルで行うことは必要だ」と結論付けている。(c)AFP