【4月18日 AFP】2008年、乗用車ほどの大きさの小天体が地球大気圏内で爆発し、ダイヤモンドを含む隕石(いんせき)が雨のように地球に降り注いだ。この小天体について、17日に発表された研究論文は、数十億年前に太陽系に存在した惑星の一部だとする説を唱えている。

 欧州の研究チームが発表した研究論文によると、この小天体の母体となった惑星は火星か水星ほどの大きさで、太陽系の誕生から最初の1000万年の間に形成された後、他の天体と衝突して粉々に砕け散ったと考えられている。

 小天体「2008 TC3」が地球大気圏突入し、スーダン北部ヌビア砂漠(Nubian Desert)にまき散らした隕石内部のダイヤモンドの組成について測定するため、研究チームは高感度の顕微鏡検査法を用いた。

 測定の結果、このダイヤモンドは、はるか昔に消滅した、水星から火星ほどの大きさの惑星上にしか存在し得なかった圧力の下で形成されたに違いないと、研究チームは結論づけた。水星と火星は太陽系内で最小の2惑星で、約46億年前に形成された。

 今回の測定は「太陽系初期に姿を消した、このような大きな天体に関する初の有力な証拠」を提供していると、研究チームは英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された研究論文に記している。

 他方で、今回の結果は、現在の太陽系の惑星が多数の大きな「原始惑星」の残骸から形成されたとする説を後押しするものとなった。

 小天体2008 TC3は「ユレイライト」と呼ばれる種類の隕石に分類され、地球に衝突する天体の中で1%にも満たない。2008年10月に発生した2008 TC3の劇的な地球衝突については、天文学者らによって事前に予測されていた。

 研究ではまた、ユレイライトで構成される小天体が全て同じ原始惑星の残骸であることも示唆された。

 ダイヤモンドは耐久性が高いため、形成時の環境に存在していた鉱物が内部に閉じ込められている可能性があり、科学者らはこれを手がかりにして、遠い過去を見ることができると考えられている。(c)AFP