【4月17日 AFP】シリアの首都ダマスカス近郊にある東グータ(Eastern Ghouta)地区で、市民ボランティアでつくる救助隊「ホワイト・ヘルメット(White Helmets)」が化学兵器攻撃を捏造(ねつぞう)したことを示す証拠だとされた一連の写真が、実際には映画の撮影現場を写したものだったことが分かった。AFPの事実検証ブログ「ファクチュエル(Factuel)」が明らかにした。

 約3000人のボランティアから成る人道団体のホワイト・ヘルメットは、シリア政権やインターネット上の陰謀論者らによって偽情報を流される被害に繰り返し遭っている。

 問題の写真は、粉じんにまみれ流血メークを施した俳優らや、かちんこが写ったもので、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の支持者らは、東グータのドゥーマ(Douma)で今月7日に行われたとされる毒ガス攻撃が捏造されたことを証明するものだと主張。また、検証サイト「べリングキャット(Bellingcat)」によると、ロシア国営テレビ局「第1チャンネル(Russia 1)」でも取り上げられ、化学兵器攻撃がでっち上げであることの証拠とされた。

 しかしこれらの写真は、実際にはシリア文化省の後援を受け同国で制作された映画『革命の男(Revolution Man、原題)』の撮影現場を捉えたもので、同作のフェイスブック(Facebook)公式ページに掲載されていた。毒ガス攻撃疑惑の1か月前に当たる先月9日には、国営シリア・アラブ通信(SANA)も同作の初上映について報じている。

 SANAによると、映画は名声を得るために「シリア内戦の写真や動画を撮影しようと、同国に不法入国した」ジャーナリストが主人公。目標を果たせなかった主人公が「自身の写真に世界的な影響力を持たせるため、化学兵器攻撃を捏造する」というあらすじだという。

 ホワイト・ヘルメットは、爆弾攻撃の被災地のがれきの中から人々を救い出す果敢な救出活動を続け、何千人もの民間人の命を救ったとされ、その活動を捉えた動画はインターネット上で頻繁に話題を呼んでいる。(c)AFP