【4月17日 AFP】中国のソーシャルメディア大手「新浪微博(Sina Weibo)」は16日、同性愛に関するコンテンツを削除するという先週発表したばかりの決定を撤回すると発表した。週末にネット上で激しい抗議が起きたことを受けた異例の措置だ。

 中国版ツイッター(Twitter)「微博(ウェイボー)」を運営する新浪微博は13日、3か月間にわたる「違法」コンテンツの「一掃キャンペーン」としてポルノグラフィックや暴力、同性愛の内容を持つ漫画および動画を削除するとの声明を発表した。

 しかし新浪微博は16日、公式アカウントで「ゲームや漫画で削除の対象となるのはわいせつな内容や流血シーンなどのある暴力的なコンテンツで、同性愛に関する内容は削除の対象としない」と発表した。

 微博による同性愛コンテンツ禁止の発表を受けてハッシュタグ「#我是同性恋(私は同性愛者)」をつけた抗議の投稿が相次ぎ、微博がこのハッシュタグを使用禁止にした14日までに2億4000万回も閲覧された。

 14日には中国共産党の機関紙「人民日報(People's Daily)」も性的少数者(LGBT)の受容を進めるべきだと主張する評論を微博に開設している公式アカウントから投稿した。

 650万回近く閲覧されたこの評論は、誰もがそれぞれの特徴を持っており、性的指向は肌の色や身長、体重などと同じ個人的特徴の一つだと論じた。その一方で、「同性愛者も普通の市民なのであり、権利を主張すると同時に社会的責任を負う必要もある」として、同性愛関連のコンテンツがポルノや暴力を検閲する法律より上にあるわけではないとくぎを刺した。

 一党支配体制を敷く中国共産党は「社会主義の本質的な価値」から逸脱したネットコンテンツをすべて禁止し、社会規範や党の政策に対する批判を抑え込もうとしており、新浪微博によるコンテンツ削除の発表もこの流れの中にあった。(c)AFP/Becky Davis