【4月17日 AFP】魚油サプリメントは長年、世界に数百万人いるとされるドライアイ患者に推奨されてきたが、その効果に疑問を投げかける論文がこのほど、発表された。

 米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載された論文によると、535人を対象とした無作為化比較試験を行った結果、ドライアイの症状軽減において、オメガ3サプリメントにプラセボ(偽薬)以上の効果を確認できなかったという。

 ドライアイは、ヒリヒリ感やかゆみ、刺痛、視覚障害などを引き起こす。米国だけでも1600万人以上の患者がいる。論文によると、米国ではドライアイによる生産性の低下や治療費などで、年間約550億ドル(約5兆9000億円)の損失が出ていると専門家らは推定している。

 研究に参加した患者は全員、軽度から重度のドライアイに少なくとも6か月にわたり悩まされていた。被験者らには、形状が同じカプセルに入ったオメガ3サプリメントまたはオリーブオイルのプラセボのいずれかを渡し、それらを毎日摂取してもらった。無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験として行われたため、本人も眼科医も摂取しているカプセルの内容については知らされていなかった。

 論文によると、試験開始から1年後、両方のグループで症状の改善がしっかりとみられた。オメガ3のグループでは全体の61%が、コントロールグループでは同54%が、少なくとも10ポイントの改善を達成した。両グループの差は統計学的に有意ではないとしている。

 論文の共同執筆者である米ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)ペレルマン医学大学院(Perelman School of Medicine)のバティニー・ブンヤ(Vatinee Bunya)助教(眼科学)は、「われわれは、オメガ3サプリメントに有益な効果がないことに驚いた。この結果は大きな意味を持っており、多くの眼科医や検眼医の考え方を変えるものとなるかもしれない」と指摘した。