この動画が、当時、手話通訳者だった唐弁護士を大きく揺さぶった。手話通訳者はろうあ者の「口」の代わりになれるかもしれないが、当人の意思の伝達者であると同時に、重要な情報の受け手でもあるのだ。しかし、そこには誤解が生じない保証はまったくないのだ。唐弁護士は一念発起して法律を勉強し、2012年に司法試験に合格、晴れて弁護士となった。

「自然手話」は、あまり洗練されていない。これに対し、法律用語には微妙な表現の差がある。例えば「強盗」や「強奪」など、一文字違うだけで性質や判決に大きく影響する。

 また、ろうあ者に法律用語を理解してもらうために、時間をかけて一つ一つ説明して理解してもらわなければならない。

■専門用語を扱える通訳者の要請が目標

 唐弁護士の事務所は昨年、5人の新卒のろうあ者を採用し、法律の知識を学習させている。弁護士に手話を学習させるよりも、この方がろうあ者とコミュニケーションが取りやすいからだ。

 唐弁護士は現在、手話通訳協会を設立しようとしている。「自然手話」を使用する人材を集め、法律や医学、コンピューターなどの専門用語や専門知識を学習させ、その知識を必要としているろうあ者たちへ発信したいのだという。「自然手話」と「共通手話」の隔たりを埋めることができると同時に、手話通訳の基準とルールを制定したいと考えている。

 唐弁護士は、「中国には2000万人以上のろうあ者がいる。この人たちがもっと社会生活に参画できるように、『言葉』の壁を乗り越える手助けができればうれしい」と話している。(c)東方新報/AFPBB News