【4月16日 AFP】米英仏は14日、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権による化学兵器開発に関与しているとみられる施設を標的に、同国の首都ダマスカス周辺で空爆を実施した。

 14日午前4時(日本時間同日午前10時)ごろ、米英仏軍は巡航ミサイルや空対地ミサイルによる攻撃を実施。まだ眠りの中にあったダマスカス近郊の住宅地の人々は慌てて目を覚ました。

 ダマスカス北郊バルゼ(Barzeh)にある複合施設も空爆を受けた。国営シリア・アラブ通信(SANA)は、バルゼの研究施設にミサイル数発が着弾し「科学研究所や訓練センターが入っていた建物が破壊された」と報じた。AFP記者は政権が案内する報道陣向けツアーに参加し、被害状況を視察した。

 空爆から数時間が経過していたが、現場では煙と焦げた臭いが漂っていた。

 攻撃を受けた研究施設の技術者だというサイード氏は、施設は3階建てだったが、完全に破壊されたとAFPに語った。だが、空爆当時、施設内には誰もいなかったという。

 この施設について欧米側は、アサド政権の「化学兵器関連のインフラ施設」だと主張しているが、サイード氏によれば施設は民間の医薬化学品研究所で、サソリやヘビの毒に対する解毒剤の生産や、子どものおもちゃ用の化学製品などの試験を行っていたという。そのためサイード氏は、「私たちの施設が攻撃を受けるとは思ってもいなかった」「もしここに化学兵器があったのならば、私たちは今ここには立っていないだろう」と語った。

 サイード氏によれば、化学兵器禁止機関(OPCW)は数年前にこの施設を訪問しており、その際、同機関は施設には毒素兵器はまったくないと言明したという。(c)AFP/Rim Haddad