【4月14日 AFP】サッカーイングランド・プレミアリーグは13日、2018-19シーズンのビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)実用化を見送ると発表した。VARはW杯ロシア大会(2018 World Cup)で導入されることが決まっているものの、今季のFAカップ(FA Cup 2017-18)での試験運用は物議を醸しており、リーグ関係者はさらなる検証が必要であるという認識を示している。

 英ロンドンで同日行われたリーグの株主総会では全20チームによる投票が行われ、VARの導入が見送られることが決定した。大きな課題となっているのは、判定が出るまでの時間が長いことに加え、スタジアムの観客にとっては審判がシステムの使用を要求するタイミングや、ビデオ検証が必要となる具体的なプレーが必ずしも明確でないことなどが挙げられている。

 同リーグが発表した声明の要旨は、「特にスタジアム内をはじめ、自宅や世界中で観戦しているファンへの伝え方に関して、システムのさらなる向上を目指し、各クラブは2018-19シーズン終了までVARの高度な試験運用を継続することで合意した。プレミアリーグではまた、来シーズンのFAカップやフットボールリーグカップ(England Football League Cup)において、VARを大々的に使用することを求めていく」となっている。

 世界規模での試験運用では別の厄介な問題も浮き彫りになっており、「明確で疑う余地がない」判定ミスを覆す場合、どのタイミングでVARを要求すべきかが問われている。

■「完璧ではない」

 ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(West Bromwich AlbionWBA)とのFAカップでVARを経験しているリバプール(Liverpool FC)のユルゲン・クロップ(Jurgen Klopp)監督は、プレミアリーグで本格的に導入される前に、システムの改善が必要であるという意見に同意しており、「WBA戦で一度VARを経験した。とても興味深いものだったと思う。判定を下すのに多少時間がかかるという意見で一致している。現時点では完璧ではない」と述べた。

 一方、ドイツ・ブンデスリーガ1部は、同国代表としてW杯ブラジル大会(2014 World Cup)制覇を経験し、現在はイタリア・セリエAのユベントス(Juventus)でプレーするサミ・ケディラ(Sami Khedira)が、今季の試験運用について「最悪なもの」と切り捨てているにもかかわらず、来季もVARの使用を継続することになっている。

 また、統括団体の欧州サッカー連盟(UEFA)はVARに対して現在も懐疑的であり、アレクサンデル・チェフェリン(Aleksander Ceferin)会長は、「VARの有用性については、誰も確信が持てない。すでに多くの混乱が生じている」と述べ、来季の欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2018-19)では導入を見送る意向を示している。(c)AFP/Julian GUYER