【4月14日 東方新報】運動ニューロン疾患(MND)で亡くなった北京大学(Peking University)学生の婁滔(Lou Tao)さんから提供された細胞を活用した研究が、中国・安徽省(Anhui)幹細胞学会と中国科学技術大学(University of Science and Technology of China)の細胞医学連合実験室で進められている。運動ニューロン疾患の早期発見と、より効果的な治療法の研究を目指しているという。

 中国で通称「少しずつ凍る病気」と呼ばれる運動ニューロン疾患は、筋肉と運動神経が徐々にむしばまれる病気だ。

 婁さんは、今年1月4日に自宅で亡くなった。生前の遺言によると、「人が生きる意味は、命の長い短いではない。質と厚みだ。病気を患ってからは生きることが苦痛だったが、この世を去る時は立派に去りたい。頭部は医学研究に利用し、そのほかの器官はほかの人の命を救うためにできるだけすべて提供してほしい」と話していた。

 最終的には、婁さんの器官は提供の条件に合わず、そのまま荼毘(だび)に付されたが、生前の昨年10月、自身の細胞を安徽省幹細胞学会と中国科学技術大学の細胞医学聯合実験室に提供していた。

 同実験室の数か月に及ぶ研究の結果、婁さんの細胞をリプログラミングすることで、胚性幹細胞(ES細胞)と同等の能力を有する人工多能性幹細胞(iPS細胞)を樹立することに成功した。婁さんのiPS細胞は運動神経ニューロンに分化され、病理研究と薬の開発に使用される。(c)東方新報/AFPBB News