【4月13日 AFP】19世紀ビクトリア朝の英国の野心と創造力を今に伝える、当時としては世界最大のガラス建築の温室が間もなく、数年がかりの大改修を終えて再オープンする。

 英ロンドンのキュー王立植物園(Royal Botanic Gardens, Kew)にある温室 「テンパレートハウス(Temperate House)」は、ジャンボ機が3機も収まるほど広い。

 錬鉄の骨組みにガラスをはめ込んだ温室は、ビクトリア時代の建築家デシマス・バートン(Decimus Burton)が1860年に設計し、1863年に開園した。世界中から集めた約1000種の植物を展示していたが、破損がひどく改修のため2013年に公開が中止されていた。

「どこもかしこもさびついて、塗装もすっかり剥がれ落ちていた。でも見てくれ、今はまったくぴかぴかだ」。総額4100万ポンド(約60億円)の改修プロジェクトを率いるアンドリュー・ウィリアムズ(Andrew Williams)氏は、再公開に向けた最後の仕上げとして植物を植え直す園芸家たちのそばでAFPの取材に語った。

 改修プロジェクトでは、6万9000個ものパーツを外して汚れを除去し、修復したり新しいものに交換したりした。また、ガラスも1万5000枚を修復した。鉄骨を全てきれいに塗装し直すのに使ったペンキは、実にサッカーのピッチ4枚を覆うほど大量だ。

「これほどの建築だもの、そこまでするだけの価値はあるよ」とウィリアムズ氏。テンパレートハウスは約1500種の植物を展示して5月に再オープンする。キュー王立植物園では、世界でも指折りの珍しい植物の数々を見ようと年間数十万の来園者がこの温室の扉をくぐると見込んでいる。

 映像は2月撮影。(c)AFP