■10万回のピストン運動

 日本コンドーム工業会によると、2016年に日本の企業が生産したコンドームの総数は4億1700万個に上る。

 日本の0.01ミリコンドーム開発の一端は「ミスター・コンドーム」のニックネームで社内では知られている相模ゴム・ヘルスケア製造本部の山中千秋(Chiaki Yamanaka)氏のチームが担った。

 試験施設でAFPの取材に応じた山中氏は、自らにつけられたあだ名を笑いつつ、「20ミクロン台のコンドームから10ミクロン台のコンドームを開発するのに、実際にそのようなニーズがあるのかということは、社内でもいろいろ議論があった」と説明した。

 また「こうして市場に出してみると、多くのみなさんに好んで使っていただけるということが分かった」と、ガラス製のシリンダーがまとう、ほとんど見えないほど薄いコンドームをつまみながら話した。

 相模ゴムではポリウレタン製コンドームの製造をマレーシアで行っており、6つの異なる試験を通じて製品の品質管理に当たっている。

 神奈川県厚木の工場ではマスクに白衣姿の従業員が、コンドームに空気や水を入れて破裂するまで膨らませる耐久試験を行っている。その傍らでは機械を使った摩擦抵抗試験が行われており、ロマンティックさのかけらもない低い規則的な機械音がブンブンと響いていた。

 同社によると、最低10万回のピストン運動の摩擦に耐えるところまで確認したが、それ以上の限界については試験したことがないという。

 今年、平昌冬季五輪の主催者は、11万個のコンドームを無料配布した。東京五輪の組織委員会がAFPに語ったところでは、この「伝統」を廃止する予定はないという。

 匿名で取材に応じたある委員は 「数やメーカーは未決定だが、選手村の備品の一つとして検討中」だと語った。(c)AFP/Harumi OZAWA