【4月13日 東方新報】インターネットの発展により金融業態や通貨に、これまでの常識を覆すような変革が起こっている。

 中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)のデジタル通貨の研究や技術が成熟するにつれて、デジタル通貨が紙幣に取って代わる可能性を指摘する声も出ている。

 人民銀は3月28日に開いた会議の中で、「人民銀デジタル通貨の研究・開発を緩やかに進める」ことを強調。人民銀が4月3日に発表した活動レポートの中で、「人民銀デジタル通貨はマイナス金利政策の実施に有効だ」と言及した。

 人民銀のデジタル通貨と、非法定デジタル通貨の違いは何か。将来はデジタル通貨が紙幣に取って代わるのか。近年、ブロックチェーンのブームに伴い、人民銀デジタル通貨に対する市場の期待も膨らんでいる。

 人民銀の周小川(Zhou Xiaochuan)前総裁は、「デジタル通貨研究の本質は、小売りの決済システムの利便性やスピード、低コストを実現することだが、同時に安全性とプライバシー保護についても考慮しなければならない」と話している。

 また、人民銀デジタル通貨研究所の姚前(Yao Qian)所長は昨年10月、「ビットコインの価値は投機性が高く、価値の根拠がない」と話している。また、「デジタル通貨は通貨そのもので、伝達するのは価値そのもの。デジタル通貨のやり取りでは決済における多くの手続きを省略することができる」と話している。

 また、「法定デジタル通貨については、先進的なデジタル技術を十分に利用し、農村地区での金融サービスの強化にも寄与する」と述べている。

 ある専門家は、「電子決済は必ず第三者支払い機関を通して銀行口座を結ぶシステムだったが、人民銀のデジタル通貨は中間手続きが省かれるため、リスクや費用は抑えられる」と分析している。

 人民銀の周前総裁は、「今後デジタル通貨の発展に伴い、将来的には紙幣や硬貨といった形式は徐々に縮小し、消滅する可能性もある」と話している。

 別の専門家は、「人民銀のデジタル通貨はすぐに発行される可能性は低い。中国市場は決済の電子化は進んでいるが、これに伴う問題点の消化にまだ時間がかかりそうだ」と見ている。

 周前総裁は、「デジタル通貨の発展の過程で注意すべきなのは、金融全体の安定とリスク管理。同時に消費者に直接損失が及ばないように、十分に、かつ細部にわたってテストを行うなど慎重に進めなければならない」と話している。(c)東方新報/AFPBB News