【4月13日 AFP】元陸上男子短距離のウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)氏は12日、オーストラリア・ゴールドコースト(Gold Coast)で開催されているコモンウェルスゲームズ(Commonwealth Games、英連邦競技大会)の陸上男子100メートルで3位に終わった同胞のヨハン・ブレイク(Yohan Blake)について、「パニック」を起こしていたと指摘し、そのことを早くからかってやりたいと話した。

 五輪で通算8個の金メダルに輝き、昨年引退するまでの約10年間で圧倒的な強さをみせつけてきたボルト氏は、レース前にブレイクに対し、ゴールドコーストでタイトル獲得に失敗しても母国に帰国することを気に病むことはないと話していたという。そして、9日の100メートル決勝でブレイクがスタートでつまずいて、南アフリカのアカニ・シンビネ(Akani Simbine)が優勝すると、ボルト氏は元チームメートと惨敗したレースについて話すつもりであることを明らかにした。

 大会のアンバサダーとしてオーストラリアに滞在しているボルト氏は、「まだ彼とは会っていないし、メールもしていない」とすると、「選手村に行って彼に会うことが待ちきれないよ。だって何としても彼をからかってやりたいからね。きっと楽しい会話ができるだろう」と語った。

 11日に現地入りして地元のナイトクラブに直行し、早朝まで騒いでいたというボルト氏は、「ブレイクが勝てなかったのは少しショックだった。少しよろめいてパニックになってしまったんだろう。そうなるとレースは厳しいものになる。つまずいたとき、最悪なのはパニックを起こすことだ。彼はそれで遅れてしまったんだと思う。そういうことは起こり得ることだし、次は巻き返してやる番だ」と話した。

 100メートルと200メートルの世界記録保持者で、世界選手権(IAAF World Championships)では11個の金メダルを手にしているボルト氏は、今度はまじめな口調で、同氏が引退してジャマイカ陸上界の主役になることの重圧について、必ずブレイクと話をするつもりであることを明かし、「そのことについては、まだ話していないけれど、彼は理解していると思う。私たちは互いに競い合ってきたからね。彼は重圧を自覚している。会ったらそのことを話すつもりだ。だけど、まずはからかってやらなくては」と語った。

 今大会の100メートル決勝では、ヘンリコ・ブルンジース(Henricho Bruintjies)が2位に入り南ア勢がワンツーフィニッシュを記録。ボルト氏が引退して初めての主要大会で、ブレイクにとっては傷に塩を塗られるような結果となってしまった。

 とはいえシンビネの優勝タイムは10秒03に終わっており、ボルト氏がドイツ・ベルリンで行われた2009年世界選手権で樹立した世界記録の9秒58が脅かされる心配はなかった。それでも31歳のボルト氏は、いずれ誰かが記録を破ることは時間の問題だとして、「記録は破られるものだ。願わくば、それがすぐでないことを祈っているけどね。そのうち、若い選手が台頭してくるだろう。彼らが同じ競技倫理、才能、そして自分と同じ野望を抱いているなら、可能性はある」と述べた。(c)AFP/Alastair HIMMER