【4月13日 CNS】中米貿易摩擦が激化している。先週、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は中国からの輸入品1000億ドル分に追加関税を課す方針を発表した。これに対し商務部の高峰(Gao Feng)報道官は、「米国に応戦する準備は整っている。我々は自分からけんかを売ることはしないが、売られたけんかは買うのが中国人のやり方だ」と述べた。

 国営日刊紙「科技日報」6日の報道によると、中国はレアアースを「切り札」にする構えだという。今回の貿易摩擦にレアアースが関われば、両国の関係のさらなる緊張は必至だ。上海証券取引所では9日、レアアース関連企業の株価が軒並み大幅高となった。

 レアアースとは、17種類の特殊金属元素の総称で、農業、航空、電子製造業、運輸業や医療など幅広く応用される。ハイテク、経済分野への影響力は大きく、「工業の金」とも言われる。

 中国はレアアース大国であり、資源量が豊富で種類もほぼ揃っている。「レアアースの都」と称される内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)のバヤンオボーでは、レアアース埋蔵量が世界で明らかになっている埋蔵量の38%を占める。輸出量も一時は世界の90%以上を占めたこともある。フフホト(Hohhot)税関の統計によると、2017年上半期に同地区から輸出されたレアアースは5029.9トン。国別では日本が最大の輸出先で、米国やオランダ、ロシアへの輸出も急激に伸びている。

 商務部国際貿易経済合作研究院国際市場研究所の白明(Bai Ming)副所長は、「米国にもレアアースはあるが、中国への輸入依存度は高い。そのため、中国がレアアースの輸出を制限する可能性もあるが、それは慎重に考えざるを得ないだろう」と述べる。もし、中国が自然資源保護や環境を理由に輸出を制限すれば、国内にもその制限は適用され、国内のエネルギーや電子分野にも一定の影響を及ぼすことになるからだ。

 レアアースの輸出を制限した場合、米国にどのような影響を与えるのか?

 白明副所長は、「米国はレアアースの多くを輸入に頼っている。米国は採掘の難度が高いこともあり、もし中国が米国に輸出制限を行えば、レアアース調達コストが上がることになるだろう」と述べた。(c)CNS/JCM/AFPBB News