【4月12日 東方新報】中国のO2O(Online to Offline)サービス大手の美団(Meituan)が上海市(Shanghai)で配車サービスを始め、中国の配車サービス最大手の滴滴出行(Didi Chuxing)との戦いの火ぶたが切られた。さらに旅行サービス最大手の携程(シートリップ、Ctrip)やモバイル地図大手の高徳地図(Autonavi)といった企業も配車サービスに乗り出すと発表し、滴滴が独占していた配車サービス市場で突如競争が復活した。

 3月下旬、配車サービスの美団打車(Meituan Dache)が上海に進出し、2社は割引合戦を繰り広げている。

 上海市場を勝ち取ろうと、美団は乗客に乗車券を贈ったり、運転手にもボーナスシステムを取り入れたりしている。美団によると、割引やボーナスを導入した当日の1日あたりのオーダーは15万件を超えたという。その後3日間も、上海での市場シェアは30%以上に上ったという。

 これに対し、滴滴も運転手へのボーナスを2倍にするなど応戦。滴滴が上海で1日に受け付けたオーダーは160万件以上で、ライバルの美団の市場シェアを15%以下にまで抑えたという。

 しかし激しい競争は、市場秩序の混乱も招いている。ボーナスシステムは上海外の運転手を呼び寄せる結果となり、上海市民は「車を呼ぶと、江蘇省(Jiangsu)ナンバーや安徽省(Anhui)ナンバーの車ばかり」と語る。営業資格を満たさない古い車が、偽の証明書を入手し稼働するなどの違法行為も見られる。

 配車サービスはシェアリング・エコノミーの代表として、タクシーを捕まえにくい市民の悩みを解決しようとサービスを提供してきた。しかし最近は、「運賃がどんどん上がる」「予約の取り消しが面倒」「カスタマーサービスにつながらない」など不満も高まっている。

 運営会社はサービスの質の重要性については、十分に冷静に認識しているようだ。シートリップ傘下の配車サービス、「携程専車」事業部の李喬(Li Qiao)CEOは、「配車サービス市場の競争のポイントは、価格からサービスに移行している。利用者は質のいいサービスに金を払う価値があると感じている。ボーナスという方法を採用しても、サービスの質を犠牲にすれば、最終的に利用客からの支持を失う」と話している。

 美団の王興(Wang Xing)CEOは、「美団は価格競争に頼らない。利用者にも運転手にも満足してもらえるサービスと商品を提供したい」と話している。(c)東方新報/AFPBB News