【4月12日 AFP】収賄罪で禁錮12年の有罪判決を受けたルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)元大統領がついに収監されたのを見届けたブラジルの右派政治家たちも、まさか議会に突然60人余りもの「ルラ氏」が出現するとは思ってもみなかっただろう。

 ブラジル議会で11日、クローン兵士のように増殖した「ルラ氏」の正体は、左派のルラ元大統領の出身母体、労働党(PT)の議員たちだ。大統領を2期務めたルラ氏に賛辞を送ると同時に、敵対勢力へ向けた皮肉として大喜びで相次ぎ改名した。

 先陣を切ったのは、上院議員のグレイジ・ホフマン(Gleisi Hoffmann)労働党党首。11日に公開された上院議長宛ての書簡で、今後は議会において「グレイジ・ルラ・ホフマン(Gleisi Lula Hoffmann)」と名乗ると表明した。

 書簡は議長に対し、議事中に議長がホフマン氏を呼ぶ際には毎回「ルラ」の入った名前で呼び、採決の結果を示す電光掲示板にも「グレイジ・ルラ・ホフマン」と表示するよう求めている。

 労働党下院トップのパウロ・ピメンタ(Paulo Pimenta)議員も同様の書簡を送り、現在は「パウロ・ルラ・ピメンタ(Paulo Lula Pimenta)」と名乗っている。

 もちろん左派政治家たちは法律上の氏名まで変更しているわけではない。「われわれの団結を示す手段の一つだ」と労働党の広報担当者は述べている。

 ただ、既に反撃も始まっている。小規模右派政党、民主党(DEM)のソステネス・カバルカンテ(Sostenes Cavalcante)議員は、ルラ氏に有罪判決を下したセルジオ・モロ(Sergio Moro)判事に敬意を表し、「モロ」を自身のミドルネームにする意向を表明した。(c)AFP