【4月11日 AFP】ミャンマーでの迫害を逃れてバングラデシュの難民キャンプに暮らすイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の子どもたちについて、栄養失調と貧血が深刻な水準にあり、国際的に定められた緊急事態レベルを大幅に超えていると、調査を行った米疾病対策センター(CDC)が10日、米国医師会雑誌(JAMA)への寄稿論文で警告した。

 昨年8月にミャンマー北西部ラカイン(Rakhine)州で政府軍とロヒンギャの武装集団との衝突が起きて以来、迫害を逃れようと国境を越えてバングラデシュに避難したロヒンギャは約70万人に上る。ラカイン州ではミャンマー軍兵士や自警団員による放火や殺人、レイプが発生したとみられるが、ミャンマー政府は否定している。

 CDCの調査は昨年10月にバングラデシュ南東部クトゥパロン(Kutupalong)の難民キャンプで行ったもので、生後6か月から5歳までのロヒンギャの子どもたち計269人が対象となった。

 CDCの医師らが子どもたちの身長、体重、腕の外周などを調べた結果、24%が深刻な栄養不良状態にあり、疾病や飢餓、死亡などのリスクが高いことが判明した。また43%が慢性的な栄養不良で、48%に重度の貧血や鉄分不足が見られた。一般的に、公衆衛生上の懸念が高く緊急に対策が必要とされる国際的な基準値は、深刻な栄養不良が15%、貧血が40%となっている。

 調査対象が1か所の難民キャンプのみである点について、CDCは論文の中で「緊急性の観点から早急に結果を導く必要があり、小規模なサンプルを用いた」と説明し、他の難民キャンプの栄養状態調査では異なる結果が出ることもあり得るとしている。(c)AFP