【4月11日 AFP】戦争の影響で長らくサッカーの国際試合の開催が禁止されていたイラクで10日、他国のクラブチームとの公式戦が20年以上ぶりに行われた。

 開催されたのはアジア・サッカー連盟(AFC)が主催するカップ戦で、首都バグダッドに本拠地を置くアルザウラーSC(Al-Zawraa SC)とレバノンのアルアヘドSC(Al-Ahed SC)がカルバラ(Karbala)で対戦した。

 バグダッドから南におよそ60キロほどの距離にあるシーア派の聖地、カルバラの玄関口に設けられた検問には、早朝から何台もの車が列をつくった。アルザウラーのサポーターは、クラブカラーである白のフラッグを垂らしたバスで大挙して街を訪れ、収容人数3万人のスタジアムを満員近くまで埋めた。

 アルザウラーのアユーブ・オディショ(Ayub Oudisho)監督は試合前、「われわれにとって重要な試合だ。ファンの前でプレーし、後押しを受けることができる」と語った。

 イラクは1990年代初頭から国際試合の主催を禁止されていたが、2017年に親善試合が解禁されると、国際サッカー連盟(FIFA)は先月にようやく、治安が回復したことから国外チームのイラク入国を認め、国際試合の開催にゴーサインを出した。

 国が長年の戦乱で悪化したイメージを回復し、投資の呼び込みを目指す中、今回の国際試合の復活はイラク国民と政府にとって大きな前進になるとみられている。ただし、主催が認められているのはカルバラのスタジアムと南部バスラ(Basra)にある国内最先端のスタジアム、そしてクルド自治区の中心都市アルビル(Arbil)のメインスタジアムの3か所に限定されている。

 この日は1-1の引き分けに終わり、チームが勝つことはできなかったが、ファンにとっては記憶に残る一戦になった。サポーターの1人は「イラクのレベルと、この国にも大会を主催する能力があるということを世界に示せた。何より重要なのは結果じゃなくてクラブ。このクラブは国全体の誇りだ」と前向きに語った。(c)AFP