【4月11日 AFP】シリア東部の都市デリゾール(Deir Ezzor)で、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の支配により閉鎖されていた学校が再開されている。

 アラビア語で「夢」を意味する名前のアーラム(Ahlam)さんは、ISが数年にわたって武力支配していたシリア東部の故郷の学校に戻り、再び教壇に立つという夢をかなえた。

 明るい色の衣服に身を包んだ少々興奮気味の児童らは、教室の椅子に腰かけて、黒板にアーラムさんがチョークで描いたサクランボの数を声をそろえて数えていく。

 2014年、ISはシリアの大部分を掌握し、自分たちが独自に解釈したイスラム教の厳格な教義を住民たちに強制した。そして、独自の学校を開き、音楽と芸術を禁止し、自分たちの超保守的価値観に従わない者には厳しい罰を科した。

 学校は、アーラムさんの故郷であるデリゾール近郊の場所にも開設され、彼女にも教員として働くよう声がかかった。

 アーラムさんはこれを拒否した。自宅で隠れて子どもたちに教えながら農業技術者である夫と果樹園で働き、かろうじて生活を維持したのだ。

 青いスカーフで頭を覆ったアーラムさんはAFPの取材に、「学校に行けず、教育を受ける権利もない。もはや子どもたちには未来がないと思った」と当時を振り返る。「だが、ありがたいことに今、子どもたちは教育を受けている。少なくとも読み書きはできる」と語った。

 2017年後半に、シリア政府がデリゾールとその近郊をISから奪還すると、教師らと子どもたちはさっそく学校に戻って来た。

 13歳のムハンマド・ラゲブ君は、AFPの取材に対し、ISが支配していた何年かは学校に行くことができなかったため読み書きができないと恥ずかしそうに打ち明けた。「本当ならば8年生(日本の中学2年生に相当)になるけれど、学校に行くことができなかった」