【4月10日 AFP】(更新)中国政府が南太平洋の島国バヌアツに恒久的な軍事拠点の建設を計画しているとの報道に対し、バヌアツ政府は10日、中国にそうした許可を与える計画はなかったと強く否定した。オーストラリア政府も報道内容を一蹴した一方、ニュージーランド政府は太平洋での開発への監視を続けていく考えを明らかにした。

 中国政府は太平洋諸国に多額の開発資金を投資しながら緊密な関係を築くことで積極的に軍事拠点を拡大し、同地域に進出してきた。

 そうした中で豪シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)紙は、中国政府が計画の実現性をめぐってバヌアツ政府に接近しており、同地域における繊細な戦略的バランスが崩れる恐れがあると報道。

 複数の情報源の話を引用しながら、中国政府がバヌアツで軍事的野心を少しずつ実現していく可能性があり、手始めに、中国海軍の艦船が燃料補給のために定期的にバヌアツに寄港することを認める協定の締結を進め得るとした。また本協定が締結されると、オーストラリア、ニュージーランド、米国の情報機関と安全保障機関は中国の影響力が拡大されることに懸念を強めるだろうとも述べている。

 しかし、バヌアツのラルフ・レゲンバヌ(Ralph Regenvanu)国土・資源相は、同紙の主張を一蹴。豪ABCラジオに対して、「バヌアツ政府の中で、中国政府によるわが国での軍事基地建設計画について協議した者は一人もない」と述べ、「バヌアツは非同盟国であり、軍国化には関心ない。わが国においていかなる種類の軍事基地にも関心はない」と強調した。

 バヌアツ訪問を終えたばかりのジュリー・ビショップ(Julie Bishop)豪外相も、豪政府とバヌアツ政府の強固な関係を再確認したと主張するとともに、「自分が知る限り、中国政府がバヌアツに軍事的な提案を持ちかけていた事実はない」と述べ、バヌアツ政府も同紙に対して同様の回答を行っていると指摘した。

 またニュージーランドのジャシンダ・アーダーン(Jacinda Ardern)首相は、今回の報道の信ぴょう性についてはコメントできないとしながらも、今後も太平洋での活動に対する監視は続けていくと述べ、「わが国は太平洋の軍事化にはおおむね反対する」と述べた。(c)AFP