【4月13日 Xinhua News】中国陝西省にある遺跡から、2000年余り前の古酒が出土した。

 古代の秦の人々も酒を楽しんだのだろうか。2000年余り前の古代人はどのような酒を飲んでいたのだろうか。陜西省考古研究院はこのほど、西咸新区空港新城岩村にある秦人の墓の発掘調査の結果を発表した。発掘されたのは平民の墓で、年代は戦国時代末期から秦代にかけてのもの。何度も盗掘に遭っているものの、さまざまな材質の文化財約260点余りが出土し、その中でもひときわ目を引くのがしっかり密閉された銅の壷の中に残された今から2000年余り前の古酒だった。

 銅壷は酒などを入れる青銅の礼器で、周の礼制によると、墓から出土した銅壷の多くは葬礼の課程で行われる「献祭」の儀式と関係があり、埋められる際にも酒などが入れられることが多かったという。だが2000年余り前に秦人が入れた酒が残されたことはまったくもって「予想外」のことだ。発掘のリーダーである陜西省考古研究院の許衛紅研究員は、「銅壷は出土した際、口の部分が黄麻の布に覆われ、植物の紐でしっかりと梱包されていた。優れた密閉性が壷の中の酒を保存することを可能にしたのだ」と説明した。

 銅壷の中には約300ミリリットルの液体が残されており、色はほぼ乳白色で、透明で澄んでいる。発掘に参加した陜西省考古研究院の張楊力錚助理研究員は、「関係機関の科学調査により、液体には比較的高濃度のヒドロキシプロリン、グルタミン酸などのアミノ酸が含まれ、酒類の物質に属しており、今で言う醸造酒に似たものであることが分かった」と説明し、今回の酒の発見は秦の都・咸陽の酒造の醸造レベルを明らかにするだけでなく、秦帝国が周の礼制を継承していたことも示しており、咸陽城の文化がどのようなものだったかを研究する上で重要な意義があると話した。

 このほかにも、調査が行われた墓群からは保存状態が完全な銅剣1点が出土した。銅剣は全長60センチで、剣身は剣背が二段階に盛り上がり、断面が八角形になるタイプで、切っ先に向かってやや細くなっている。細かく観察すると刃に欠けた部分があり、使用された痕跡が見て取れる。銅剣が切っ先に向かって細くなり、八角形の断面を持つのは殺傷能力を高めるためだ。「史記」の記述によると、戦争に備えるため、秦の簡公6年(紀元前409年)から「初めて吏に帯剣させた」、そして翌年には「初めて百姓に帯剣」させたという。これ以降、秦の男子は帯剣することが義務付けられた。張楊氏は、この剣の造型は呉や越の様式で、刃部の欠けから推測するに、血なまぐさい戦場で実際に使われた武器であり、また秦人の尚武の気風と他地域との文化交流を裏付けるものでもあると述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News