【4月10日 AFP】英国で2016年に発見された2億500万年前の顎骨の化石が、これまで確認されているものとしては最大級のイクチオサウルス(魚竜)のものである可能性が出てきた。研究論文が9日、発表された。論文によると、地球上に生息していた生物としても過去最大級だった可能性があるという。

 米科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に掲載された研究論文によると、骨片の化石は2016年5月、英イングランド(England)南西部サマセット(Somerset)州リルストック(Lilstock)の砂浜で見つかったもので、その大きさは1メートル近くあった。イルカにも似た容姿のイクチオサウルスは、魚を捕食する水生爬虫類で既に絶滅している。

 カナダにある別の骨との比較から、見つかった化石はイクチオサウルスのものである可能性があることが分かった。またその大きさから、体長は26メートル近くと、シロナガスクジラとほぼ同じ大きさだったことも伺えるという。

 カナダで発見された化石はシャスタサウルス科ショニサウルス・シカニエンシス(学名:Shonisaurus sikanniensis)のもので、全長21メートルと、これまで発見されている限り最大のイクチオサウルスだった。

 イクチオサウルスの専門家である英マンチェスター大学(University of Manchester)客員研究員ディーン・ローマックス(Dean Lomax)氏は、「(英国で見つかった)標本が大きな顎骨のみだったので、全長を推測することは難しい」と指摘。「だが、単純な倍率を使ってショニサウルス・シカニエンシスの別の骨と比較すると、リルストックの標本の方が約25%大きいことが分かる」

 これまでに見つかっている化石から、イクチオサウルスが中生代(2億5100万年前~6500万年前)に生息していたことが推測できる。またイクチオサウルスをめぐっては、恐竜ではなく水生爬虫類だったと考えられている。(c)AFP