【4月10日 AFP】シリアの首都ダマスカス近郊にある反体制派の拠点で化学兵器が使用されたとみられる問題を受け、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は9日、米国の対応は「強力なものになる」と述べ、軍事行動を起こす決断を数時間後にも下すと示唆した。

 ホワイトハウス(White House)で開いた国家安全保障担当チームとの会合で述べた。

 トランプ氏は、「ダマスカス近郊で行われたおぞましい攻撃についてわれわれはどう対応すべきか判断しているところだが、対応は強力なものになるだろう」と明言。「今夜か、そのすぐ後に判断を下す」と語った。

 この問題では、ダマスカス近郊の東グータ(Eastern Ghouta)地区にある反体制派支配下の町ドゥマ(Douma)で実施された毒ガス攻撃により40人以上が死亡したとされ、国際的な対応を求める声が高まっている。

 トランプ氏はこれに先立って開かれた閣議の冒頭で、ドゥマの「罪のないシリア人に対する凶悪な攻撃」を非難。「今後24~48時間以内」に何らかの決定が下されるとした上で、「これは人間性に関わる問題であり、起きてはならないことだ」と述べていた。

 シリア政権側とその同盟国のロシアは、化学兵器が使用されたとの見方を否定。またロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は「この問題について挑発や推測」をしないよう警告した。

 トランプ氏は昨年、化学兵器によるものとみられる攻撃発生後、シリア政権の空軍基地にミサイル攻撃を実施。今回の問題については8日、「大きな代償」を払わせると警告していた。

 情勢が緊迫する中、9日早朝にはシリア政権の空軍基地がミサイル攻撃を受け、西側諸国による軍事行動との懸念が高まったが、シリア・ロシア両政府はこれがイスラエルによる攻撃だったとしている。

 9日には国連安全保障理事会(UN Security Council)がシリア情勢に関する緊急会合を開催。米国は、シリアでの化学兵器攻撃に関する新たな独立調査を求める決議案を配布した。映像はドゥマの仮設病院。7日撮影。(c)AFP/Maya Gebeily