【4月10日 AFP】スペイン1部リーグ、アトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)のフェルナンド・トーレス(Fernando Torres)が9日、ユース時代から所属していた同クラブを今季限りで退団することを表明した。10代でアトレティコの下部組織に入団し、2001年に17歳でトップチームデビューを果たすなど、同クラブでは英雄的存在として活躍してきたトーレスだが、今季の先発出場はリーグ戦3試合にとどまり、ベンチを温める日々が続いていた。

 現在34歳のトーレスは「今季限りでこのクラブを退団することをお知らせする。これまで大きな愛情を注いでくれたファンには伝えておくべきだと感じた。クラブと自分の双方とも、この瞬間が訪れることは分かっていた。自分の現状を受け入れると、今が最良のタイミングだと感じている。チーム内で私の存在感が目立ってしまうなか、ほかの選手に道を譲る時期が訪れた」とコメントした。

 アトレティコでの最初の5シーズンでリーグ戦76得点を記録したトーレスは、イングランド・プレミアリーグのリバプール(Liverpool FC)でも素晴らしい4年間を過ごしたが、チェルシー(Chelsea)やイタリア・セリエAのACミラン(AC Milan)では本来の攻撃力が見いだせず、不調に悩まされていた。その後、アトレティコに感動的な復帰をした際には、同クラブで現役生活をまっとうすることを望んでいた。

「このクラブに二度もさよならを告げるのはとてもつらい。私はここでスパイクを脱ぐことを考えていて、それが理想だったからだ。しかし、物事は必ずしも思い通りにはいかない。調子はとても良いのでプレーは続けていきたい。2~3年もしくは5年のうちに、自分の状況がどうなっているかは分からない。次のチームやリーグは決まっていない。オファーに耳を傾けて、そのなかから行き先を決める必要がある」

 現役時代にアトレティコで5年間プレーし、2014年には指揮官としてチームをリーグ優勝に導いたディエゴ・シメオネ(Diego Simeone)監督とは目も合わさないとうわさされているトーレスだが、「シメオネとの関係は普通で、プロフェッショナルなものだ。いつも話している通り、確執があるという話に加わるつもりはない。監督とは何の問題もないし、それはクラブの誰とでも同じだ。今回の決断は、完全に個人的なものだ」と強調している。

 アトレティコがリーグ優勝を果たした4年前にはチェルシーでプレーしていたため、トーレスがアトレティコでタイトルを手にしたのは、同クラブが2002年に2部リーグを制覇したときだけとなっている。しかし、今季のアトレティコはヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2017-18)で優勝候補筆頭に挙げられており、来月16日にフランス・リヨン(Lyon)で行われる決勝で有終の美を飾る可能性もある。

 アトレティコでは合計330試合に出場して113得点を記録し、スペイン代表としては2010年のW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)制覇に加え、2008年と2012年には欧州選手権(UEFA Euro)でも優勝を経験しているトーレスは、「この(アトレティコでの)セカンドステージは最高だった。夢のような時間を過ごせたし、これからも別の生き方ができることを確信している」と語った。(c)AFP