【4月5日 AFP】中国で3日、24年前に行方不明になった娘と両親が涙の再会を果たした。四半世紀近くに及んだ一家の苦悩は、同国で論争となっている、子どもの人身売買や失踪の問題を改めて浮き彫りにした。

 1994年、当時3歳だった、内陸部の四川(Sichuan)省に暮らす王明清(Wang Mingqing)さんと妻の劉登英(Liu Dengying)さんの娘は、一家の果物の露店で短時間、目を離したすきに行方不明になった。

 夫婦は娘の捜索のために果物商をやめ、地元警察や福祉団体に協力を求めた。しかし違法な養子あっせん組織によって誘拐されたり人身売買されたりして毎年何万人もの子どもが行方不明になる中国では、王さんの娘もそのうちの一人にすぎず、努力はなかなか実を結ばなかった。

 それでも王さんは諦めなかった。2015年にはタクシー運転手に転身。いつか奇跡的に、娘が客として乗ってきてくれるかもしれないといういちるの望みに懸けたという。

 そして奇跡は起こった。今年に入り、数千キロ離れた吉林(Jilin)省に住む女性が、王さんに連絡を取った。女性はインターネット上で、一家に起こった身の上話を読み、娘が成長した姿を想像した似顔絵を見て連絡してきたという。

 DNA鑑定の結果、連絡してきた女性、啓鳳(Kang Ying)さんは行方不明だった王さんの娘であることが確認され、一家は3日、四川省の成都(Chengdu)で感動の再会を果たした。

 王さんの息子ともう一人の娘は、「会いたかった」というプラカードを用意して啓さんを出迎えた。啓さんは結婚し、息子と娘がいる。(c)AFP/Poornima WEERASEKARA