【4月5日 AFP】フランスの鉄道組合はかつて、鉄道網の遮断によって国全体を機能停止させることができた。しかし今月3日のストライキで労働者たちが職場を放棄した際には、通勤客や企業の苦境を軽減するために新たなテクノロジーが一役買った。

 1995年、仏国内の公共交通網の運転士や職員らがストライキを行った際には、通勤客は3週間近くにわたり地獄のような交通渋滞に直面し、企業も従業員の欠勤や労働時間の損失に頭を痛めた。パリっ子たちの中には、市内のあちこちの道路沿いに立ち、親指を立ててヒッチハイクをしたことを思い出す人たちもいる。

 それから20年以上が経ち、インターネットや携帯電話、新たな働き方などが普及した現在では、通勤客や旅行者は鉄道の大規模な混乱が起きる前により多くの情報を入手し、それに備えることができるようになった。

 フランス国鉄(SNCF)では、運行が大幅にキャンセルされることを旅行者に数日にわたって警告した後、ウェブサイトと携帯アプリでリアルタイム情報を発信。こうした対応が、各駅での乗客の不満軽減に一役買った。

 結果として、3日朝の通勤ラッシュの時間帯には、かつての大規模ストライキのようにホームが通勤客でごった返すこともなく、大半の駅で驚くほど秩序が保たれていた。南仏ニース(Nice)の駅でAFPの取材に応じた若い眼鏡技師の女性は「大混乱になっているかと思った。みんなそう予想していたのに」と語った。